令和5年度高岡市歯科医師会学術講演会を開催しました。
令和5年度高岡市歯科医師会学術講演会
6月25日(日)に高岡市医師会事務局 ホール研修室をお借りして、令和5年度高岡市歯科医師会学術講演会を開催いたしました。今年度は「エキスパートからの後進へのメッセージ」をテーマに、お二人の経験豊富な先生からご講演いただきました。
【講演1】「抗血栓治療薬内服下でなぜ歯科口腔外科処置が可能か −自信を持って対応しよう−」
講師:北陸中央病院歯科口腔外科 部長(前朝日大学歯学部口腔病態医療学講座 教授)
式守 道夫 先生
歯科医院に通院されている患者さんの中には、脳梗塞や心筋梗塞などの予防のため、体内に血栓ができないように抗血栓治療薬(いわゆる、血液をサラサラにする薬)を服用されている方がいらっしゃいます。歯科では抜歯など出血を伴う治療が必要なこともあり、その際に血が止まりにくいことを心配される方も少なくありません。
ただ、正しく対応すれば、実際はそのような危険性は少なく、式守先生には薬を服用されている患者さんへの安心・安全な治療について解説いただきました。ご講演をもとに、我々も常に安心して治療を受けていただくよう努め、難しいケースに関しては総合病院の先生方との連携を行いながら治療にあたって参ります。
【講演2】「機能回復外科としての歯科」
講師: 富山大学学術研究部医学 歯科口腔外科学講座 教授 野口 誠 先生
野口先生は2005年に富山大学に赴任され、足掛け19年、県内の一般の歯科医院のみならず、他の総合病院でも対応が困難なケースを一手に引き受けてこられました。特に口腔がんや口唇口蓋裂(口や顎の先天異常)の治療では、北陸随一といっても過言でないと思われます。
口は、話す・食べる・飲み込むの他、呼吸や顔の表情など、人間に重要な多くの機能を持つところです。しかし、口腔領域の治療を行うことにより、これらの機能に障害が生ずることがあります。野口先生は、例えば口腔がんの治療に際しては、がんを治すのみでなく、治療後の口腔の機能の回復や患者さんの社会復帰を第一に考えての治療を行ってこられ、今回の講演でその一部をご紹介いただきました。
口腔の機能回復を得るためには、これまで培われた歯科的な技術が不可欠で、また歯科衛生士や言語聴覚士らとのチーム医療も重要となります。また、日々の治療の効果について客観的に評価して、次の治療に繋げていくことについてのアドバイスをいただきました。
我々も日々の診療と学びを繰り返しながら、口の機能の回復・維持に努めていくことを再確認させていただきました。
(高岡市歯科医師会学術委員 津野宏彰)