平成29年10月11日に高岡市医師会・高岡市歯科医師会学術講演会が開かれました。

昨年に引き続き、骨粗鬆症関連の内容で、今年は骨粗鬆症の医科歯科連携が浸透してきたこと、および薬剤師会からのご出席もあり、昨年よりも多くの先生方のご参加がありました。

一般演題として済生会高岡病院 南部浩史先生から「医師・歯科医師連携開始からのこの1年」と題してご講演いただきました。

南部先生から医科歯科連携文面の作成の流れ、また連携文面導入後1年の概要をご説明いただきました。実際のやりとりを例示しながら、この1年連携は少しずつ進み患者さんが喜ぶことも多くなり顎骨壊死の恐れのある患者さんが歯科治療を受けられる機会が多くなった、今後薬剤師との連携も進めるべきとおっしゃいました。

特別講演として兵庫医科大学 歯科口腔外科講座主任教授 岸本裕充先生から「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の予防および治療」と題してご講演いただきました。

・骨粗鬆薬の一部(エビスタ、ビビアント、エディロール、SERMなど)は顎骨壊死と関係なく

 休薬の必要がないこと

顎骨壊死に対する現時点の考え方として

・抜歯により骨吸収抑制薬関連顎骨壊死を生じるわけでは必ずしもない

・抜歯しなくても、慢性炎症(痛み腫れがでていない炎症)で骨吸収抑制薬関連顎骨壊死が生じる

・休薬の有効性に関するエビデンスはない

・休薬せず抜歯しても骨吸収抑制薬関連顎骨壊死は多発しない

・休薬が可能なケースもあるので照会を

・骨吸収抑制薬関連顎骨壊死は外科療法で治せるようになってきた

・骨吸収抑制薬関連顎骨壊死発症後の治療的休薬は価値がある

以上のことを詳しくご説明いただきました。・

また顎骨壊死を引き起こす感染を防ぐために口腔清掃が重要であること、悪性腫瘍は顎骨壊死のリスクが高まるため『骨粗鬆症か悪性腫瘍か』の処方医への問い合わせが大事とのことです。

今後、骨粗鬆症患者さんが来院された場合、詳しく説明し顎骨壊死を予防していく重要性を再認識させられました。

 

                                    (島田芳紀)