令和2年度 高岡市歯科医師会学術講演会を開催しました
令和2年度 高岡市学術講演会
日時 令和2年9月6日(日)10:00~12:30
場所 高岡市歯科医師会内
令和2年9月6日に高岡市学術講演会を開催いたしました。講師に公立能登総合病院 歯科口腔外科 長谷川剛志先生をお招きし『高齢者の摂食機能障害に対するアプローチ』~医科・歯科・多職種連携の意義と担うべき役割とは~についてご講演いただきました。
コロナ禍での開催のため、今回は初めてのリアルタイム講演会、Youtube配信となりました。以下要約。
『加齢』と『老化』。加齢とは物理的な時間経過のこと、老化とは生体機能が低下することを指す。加齢の開始は生殖可能年齢より始まる。生理的な老化は20~30歳で始まるとされている。
摂食嚥下にとって、口腔期の食塊形成がとても大切であり、ミールラウンドによって口腔期の咀嚼、食塊形成の観察を十分に行い、この患者様の問題点を発見することがとても重要である。
「かむかむチェックシート」の利用はとても有用であり、およそ1週間のチェックで、摂食量、栄養のバランスなどを客観的に判断することができる。よく噛んで食べることは、健康に様々な効用をもたらす。しかし、脳卒中や老化により口腔機能が低下すると、食物を上手く噛めないまま嚥下しようとするため、誤嚥や窒息につながることが懸念される。そこで、咀嚼機能の維持・向上から誤嚥や窒息の予防を目的として「噛む訓練」が大切となる。ふだん食べている食品メニューより「噛む回数」を設定し、目標値を具体化することにより訓練に対するモチベーションや継続性が得られると考えられる。患者さんが食べられるという言葉を鵜呑みにせず。食事の偏りがないか聞き出し、ミールラウンドを行い、多くの目で栄養指導をすることも大切である。
http://noto-stroke.net/(能登脳卒中地域連携協議会:こちらよりダウンロード可能です。)
「老い」のどの時期で摂食の介入するかによって、その患者様に対する対応が変わる。その置かれている状態を判断し、適切な摂食援助を行うことがとても大切である。
またフレイルの負の連鎖による悪化を防ぐためには、オーラルフレイルの初期の段階で、状態を把握、見つけ出し、なるべく早期に診断、介入することが大切である。薬剤の影響による食欲の低下、色彩、形態による食欲の変化などもあり、食を考える場合には他職種、多方面からの考察、気づきが必要であり、固定概念ではなく、多様な概念によってサポートする必要がある。